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みなさま、こんにちは。

 

今回は、十勝で取り組まれている起業・創業支援プログラム「とかち・イノベーション・プログラム(TIP)」をご紹介します。

十勝地域で新たな事業を生み出そうとする人が集まり、「新しいことを始めたい」「自分のアイデアを形にしたい」―そんな気持ちを応援するプログラムです。

事業化を「1」とするならば、TIPは「0」から「0.5」をつくるステップ。まだ形になっていない「やりたい」を持ち寄り、学び合いながら少しずつ前に進んでいく場なのです。

 

このTIPは2015年にスタートし、今年で11年目を迎えました。十勝に暮らす人はもちろん、UターンやIターンでやってきた人も参加しています。

これまでに400人以上が参加し、83件の事業構想が発表され、28件が事業化されています。

最初から立派な計画がなくても大丈夫。小さな「やりたい」が、TIPの中で育っていきます。

全国に広がる挑戦、その先頭を走る十勝

イノベーション・プログラムは全国のいくつかの地域でも開催されていますが、十勝はその中でも最も早くから取り組みを進め、成果を積み重ねてきた先進地です。

食と農を軸にした挑戦が数多く生まれ、その取り組みは全国からも注目されています。

市長が贈った、ゲーテの挑戦の言葉

そんな先進的なTIPを後押しするように、帯広市の米沢則寿市長も毎年足を運んでいます。今年のキックオフセッションで市長から参加者に送られた激励のメッセージを紹介します。

 

「自分一人で石を持ち上げる気がなかったら、二人でも持ち上がらない」

 

これは、ドイツの詩人ゲーテの言葉を引用したものです。歩みを進める上ではともに取り組む仲間の存在が支えになりますが、同時に「たとえ一人でもやり遂げる」という強い意志も欠かせません。市長の言葉は参加者一人一人の背中を押しました。

チームで取り組み、思いを形にするまで

TIPの大きな特徴は「チームで取り組むこと」です。

仲間と話し合う中で一人では思いつかないアイデアが生まれたり、意見を重ねる中で新しい視点に気づいたり…。

時にはチームで動く難しさに直面することもありますが、その経験こそが人を動かす「巻き込み力」を育てます。

そして、TIPの場は、一人ではできない挑戦にチームで挑める絶好のチャンスでもあります。

今年のTIPもキックオフから2カ月が経過し、8月25日の第4回セッションでは、チームが結成されました。
執筆時点(9月8日)では13チームが登録され、すでに活動が始まっています。
11月の「事業構想発表セッション」では、それぞれが練り上げたプランが発表されます。

伴走するメンター、挑戦を支える土台

TIPには、経験豊富なメンターや専門家が関わっています。
「こんなことをやってみたいけど形になるかな」
「やりたい気持ちはあるけど、どう動けばいいか分からない」

 

そんな声に寄り添い、一緒に考えてくれる伴走者がいるからこそ、安心して挑戦できます。一人一人がやりたい気持ちを原動力にできる環境が整っています。

 

チームの数だけアイデアがあり、そこからどんな新しい挑戦が生まれるのか―。
毎年の発表では、十勝の未来につながるワクワクするような提案がたくさん見られます。

十勝発、馬車BARという挑戦

ここで、過去の発表から生まれた事業を二つ、紹介します。
一つ目は「馬車BAR」です。

 

実際にご覧になった方、ご乗車された方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実はこれ、TIP1期から生まれた事業なんです。

 

ばん馬とまちの魅力を掛け合わせ、夜の帯広を馬車で巡りながら地元のお酒を楽しむ特別な体験。「ばん馬をもっと身近に」「十勝の夜をもっと楽しんでもらいたい」―そんなシンプルな“やりたい”から始まったプロジェクトです。

引用元:「馬車BAR」ホームページ

 

上の画像では、奥に十勝のソウルフード「インデアンカレー」も見えますね。ばん馬が引くキャビンに身を委ねてゆっくりとまちなかを散策する―そんなひとときを過ごしてはいかがでしょうか。
今では管外、道外から訪れた方にも人気となり、十勝の新しい観光コンテンツとして定着しています。

廃棄野菜に価値を生み出す

二つ目は「やさいくる」です。
十勝は日本有数の畑作地帯。広大な畑では多くの作物が育ちますが、実は食卓にのぼる部分以外にも、使われずに処分されてしまう葉や規格外の実などが数多くあります。
そうした未利用の端材に着目したのがこの事業で、TIP5期から生まれました。

 

普段は廃棄されることの多い野菜と古紙を活用し、一枚一枚手すきで仕上げられるオリジナルのサステナブルペーパー。その紙が、名刺などのアイテムに生まれ変わります。

 

初めて会った相手に差し出す名刺が、十勝の畑から生まれた“特別な1枚”だったら、話のきっかけにもなり、環境への思いも届けられるかもしれません。

 

実は、10月10日に開催される「とかちファンミーティング」でも訪問します!
どんな出会いがあるのか、どうぞお楽しみください。

引用元:「やさいくる」ホームページ

「Wants」が未来をつくる

「馬車BAR」や「やさいくる」のような取り組みは、「必要だから」ではなく「やりたい」から始まりました。挑戦の原点はいつも“Wants”。それをTIPで育てることで、夢が現実に変わっていきます。

 

TIPに参加するのに特別な資格はいりません。大切なのは「挑戦してみたい」という気持ちだけ。農業、食、観光、教育、福祉、IT…。テーマは自由で、多様であればあるほど新しい発想が広がります。

 

十勝には、まだまだ眠っている”事業化の種”がたくさんあります。

それを引き出すのは「やらなきゃ」ではなく「やりたい」という思い。

 

TIPは、そうした思いを持つ人の一歩を支える場として取り組みを続けています。

これから生まれてくる新しい挑戦に、ぜひご注目ください!

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