事務局の川野です。
前回のコラムで、TIP事業構想発表セッションの前編をご紹介しました。
今回は、後半の4チームの発表と、米沢則寿帯広市長の講評をお届けします。
⑥十勝グローカルラボ 「世界の入り口を十勝に作る、食のグローカル・コネクター事業」
ビジネス
-"Wants"から生まれる、事業の種-(後編)
事務局の川野です。
前回のコラムで、TIP事業構想発表セッションの前編をご紹介しました。
今回は、後半の4チームの発表と、米沢則寿帯広市長の講評をお届けします。
⑥十勝グローカルラボ 「世界の入り口を十勝に作る、食のグローカル・コネクター事業」

「We are Tokachi Glocal Lab. Today, we are here to …」
冒頭、流暢な英語でスピーチを始めたのは、主犯の吉永菜美香さんです。
米国の外資系企業で培った経験を生かし、十勝と世界をつなぐ“入り口”を地域につくることを目指しています。
十勝には、豊かな食材と、それを活用した6次産業化の実践例という大きな強みがあります。しかし、これまでその魅力を海外へ発信する機会は限られ、世界とのつながりが十分に広がっているとは言えませんでした。
そこで、英語ウェブサイトの開設や海外視察の受け入れを通じて十勝の魅力を発信し、将来的には輸出も視野に入れたビジネス支援へとつなげていきます。
十勝にはすでに国際ビジネスを支援する機関がありますが、多くは「この国にこの商品を売りたい」といった具体的な計画が整っていることを前提としています。
本事業では、その一歩手前の段階から伴走し、既存の支援では届きにくい部分を補いながら、持続可能なビジネスのつながりを築いていきます。

⑦Tokachi Kids Ride 「ちびっこライダーズパーク」

電動キッズバイクを活用し、子どもたちが気軽に集まり、思いきり体を動かせる場所をつくる事業です。
主犯の富田岳登さんは、3年前から幕別町でバイクショップを経営し、道内各地で体験イベントを開催。これまでに100人を超える参加者を集め、多くの親子から好評を得てきました。
こうした反響を受け、十勝の住宅街近くに専用コースを整備する計画を進めています。コースは1周800mのオフロードで、小さなジャンプ台や8の字走行など、子どもたちが安全に楽しみながら技術を磨ける工夫が盛り込まれています。
また、安全面にも十分配慮されており、バイクは最低速度を時速7kmに設定できるほか、転倒時には自動でアクセルが止まる装置も備えられているため、保護者も安心して見守ることができます。
さらに、スクールやコンテストの開催、熟練ライダーによる指導の機会も設け、楽しむだけでなく、子どもたちの成長につながる場づくりを目指します。
この取り組みを通じて、十勝を電動キッズバイクの“聖地”とし、全国から多くの家族が訪れる新たな交流拠点となることを目指します。

⑧ポテカチ 「他人軸卒業リトリートプログラム」

十勝の雄大な自然の中で「本来の自分」を取り戻し、新たな一歩を踏み出すためのリトリートプログラムを提案する事業です
主犯の三村直輝さんは、他人からの評価を基準に生きてきた経験から、自分の価値観を大切にする「自分軸」の重要性に気付き、この取り組みを始めました。
提供するのは一般的なコーチングとは異なり、前向きな挑戦の前段階となる「マイナスからゼロ」へ心身を整える時間です。
参加者は料理や焚き火、キャンドルを囲む時間を通して自分の本音と向き合い、「こうありたい」と思える未来を描いていきます。
主な対象は慢性的な疲労や生きづらさを感じる20~30代で、十勝をリトリートの聖地とすることを目指し、2月からサービスを開始しています。

⑨非日常発掘チーム 「バウリニューアル ~記念日を更新する体験ギフト~」

「結婚記念日をどう過ごそうか」と悩む夫婦は少なくありません。
このチームは、そんな思いに応えるため、結婚記念日や特別な日を新しい形で演出するサービスを提案します。
主犯の須田賜生さんは、札幌で10年間ウェディングプランナーとして活動し、十勝移住後も結婚式のコンサルティングに携わってきました。
そこで着目したのが、夫婦が改めて愛を誓い合う「バウリニューアル」という文化です。
形式にとらわれず、二人らしさを大切にしながら、笑いや涙を分かち合い、これからの関係を見つめ直す時間をつくります。
徹底したヒアリングをもとに世界に一つだけの記念日をプロデュースし、地域の事業者とも連携しながら、十勝に新たな記念日文化を広げることを目指します。

講評に立った帯広市の米沢則寿市長は、発表された9つの構想それぞれに期待を寄せ、「これらが実現すれば、十勝はさらに元気で豊かな地域になる」と語りました。
さらに「ここからが本当のスタート。事業化に向け、私たちも全力で伴走していきたい」とエールを送りました。

この言葉は、TIPの理念である「Wantsを起点に、0から0.5をつくる」という考え方にも通じるものです。
今回の発表はあくまで第一歩に過ぎません。今後は仲間や支援機関とともに検証とブラッシュアップを重ねながら、構想を地域に根差した形で実装し、十勝に新たな挑戦と価値を生み出していくことへの期待が込められていました。
さて、9つの事業構想はいかがだったでしょうか。
今回のTIP11で発表されたプランはいずれも、「十勝らしさ」と発表者一人ひとりの思いが重なって生まれたものです。
社会課題の解決を出発点とするだけでなく、自身の経験や日常の中から生まれた「こうありたい」「こんな暮らしがあったらいい」という願いが形になっており、どの構想にも強いリアリティと温かみが感じられました。
今期のTIPはここで一区切りとなりますが、決して「発表して終わり」ではありません。事業構想発表は、それぞれの挑戦が始まるスタートラインでもあります。
各チームがこれから十勝の地でどのように事業を形にしていくのか、今後の展開にぜひご注目ください。

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