2022/11/08
とかちの
カルチャー
十勝らしさを地域の活性化につなげたい
akihiro taniho
冬の街中の賑わい創出へ~TOKACHI ICE PARK~
取り組みのはじまり
壮大な自然と恵まれた大地から生まれる国内有数食料拠点の十勝
十勝では豊かな食材と豊かな心が育まれ多くの方が訪れ魅了してくれます。その十勝で街中活性化に取り組む課程で、一つの課題が様々な会話から感じました。ハイシーズンとは異なる冬の閑散期への対策でした。
街中の活動では、空き地・遊休地の利活用促進も自身のテーマとしていた中で、積雪寒冷地の冬では、夏は利用出来ている場所でも、冬は単なる雪のたまり場~そのような光景を見ながら、何か土地というものを多毛作的に利用できないかと考えていた時期でもありました。
そこで描いたのは、冬の街の真ん中の雪のたまり場に、地域らしい雪と氷を利用して、丘リンクでした。自分の幼少期には、街中に「ヤングセンター」という施設があり、夏はプール、冬はスケートと市民の憩いの場でありましたので、将来のヤングセンターの復活への願いもあったので、その何かきっかけにと野外のスケートリンクを創り、スケートを通じたコミュニティができないかと思って構想をはじめました。
構想から行動へ
この構想を描いたのは秋。もう時間は限られていましたし、知識も十分でなく不安でいっぱいでしたが、そこに賛同してくれる仲間達が集まり後押ししてくてたことで、取り組んでみようと決めました。近年の温暖化やまた街中は郊外より気温も高いなど、「野外リンクは無理」という意見も多かったのですが、やってみないとわからないし、やってみることで色々な課題も見えるので、この先に向けて方針転換やブラッシュアップしていくというプロセスが大切と考え実行する事にしました。場所も賛同いただきお貸しいただけることになり、またリンク製作にもお力を頂くなど、地域の皆さんのいっぱいのお力添えの中で製作が始まりました。
ちょうどこの冬は冬季オリンピックの年でもあったので、この十勝の街中からみんなでエールを送ることを軸に取り組みました。
丘リンクを創る
ビルに囲まれた街中に、きれいな自然の雪と氷の空間を創造したい。また丘リンクのイメージをそのまま再現したく、特別な資機材を利用せずに、原点に戻り雪を踏み固め、そして数日夜間に大量の水をまきを繰り返す手法でやっとリンクらしくなってきました。
水は低い方で流れますので均一な氷の厚さをつくる難しさ、周囲の雪氷の土手から水が抜けて空洞化することもあり、またスペース的にも車両で水撒きも出来ないのですべてが手作業で行うなど、非常に難易度が高く、正直「本当にできるだろうか」と不安の中取り組んでいました。
完成した街中のスケートリンク
作業はやはり難航しましたが、皆さんのお力添えもあり無事にオープンを迎えることができました。PRも不十分でしたが、たくさんの方が滑りにきてくれてました。構想のイメージはありましたが、実際にできて滑って頂けて、笑顔あふれた光景を目にして、とても嬉しく、また街中の異空間が新しい街中の冬の風景になれたこと、試行的な取り組みでしたが、実際に姿形にして開催できたことに感動したのを覚えています。
子供達の笑顔が街中に溢れ
元オリンピック選手が子供達にスケート教室を開いてくれたり、スケートを通じて触れ合い、スケートの楽しさを感じてもらい、子供から大人までたくさんの方がこの街中リンクの表情を心地良く整えてくれましたし、街中の活性化の一つのヒントも頂くことができました。
2回目からは場所を駅北多目的広場へ
試行的で開催した1回目は、稼働期間が1ケ月弱で約1000人ほどの方が楽しんでくれました。この開催の経験を活かし、2回目はリンクの製作や日々の管理なども再検討し、全体的にブラッシュアップし、場所も駅北多目的広場に移し取り組みました。この年は雪も少なくまた気温も高いなど製作に苦慮し、日々気温を見ながら寒い日そして時間帯に水撒きをして創りました。早朝の街中にほんの一瞬だけ池ができ、そこに陽やビルが鏡面してとても幻想的な光景でした。
街中の賑わいと交流
2回目は、約2ケ月稼働し約6000人が遊びにきてくれました。地元の方をはじめ、観光、ビジネス、そして海外の方も色々な方がスケートを楽しんでくれました。また地元の方がはじめて滑る方に手を添え教えていたり、会話したりと交流する場にもなっていました。札幌や日光で同じくリンクを手掛ける関係の方々も来てくださり、スケートを通じた地域連携にも繋げることができました。
以前の街中は、居住区も多く賑わっていましたが、時代の流れの中で郊外への移動など、長い年月の中で、街中居住は大きく減少し、現在その居住をまた街中にと動き始めている状況の中で、やはり居住を多くするためには、子供達そして家族が心地良い環境を合わせて整えることが重要と思っているので、この街中リンクで子供達・家族そして若い人が見せてくれた笑顔が、何か今後の街中の進め方を教えてくれた気がしました。
この先の復活を願い
その後翌年も開催でき現在まで3回開催しています。3回目では、冬に大雨が降ったりまた大雪があったりと安定しない気候もあり、1ケ月程度で終了せざるを得ませんでした。
その後コロナという状況から、開催することができていません。少しづつ平時に戻りつつある現在ですが、短期間のイベントとは異なり1~2ケ月のロングでもあり、途中で中止となった場合のリスクも大きいなど、まだ難しい状況になると思っています。
また3回目からは、地元の高校生達が参加し、リンクの運営管理を全面的に協力していただいている体制からも、確実な安心安全な状態でなければ、有志活動としてはできないと思っております。早くこの状況から、以前の安心安全な生活に戻ることを願い、同時に街中の冬の賑わい創出にもまた取り組めたらと、その想いを持ちながら、その日が来るのを待っています。
写真のように駆け抜ける冬の勢いがまたやってくるそんな気がします。